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銘柄牛肉判別検査のQ&A | 産地判別検査の同位体研究所

銘柄牛肉判別検査のQ&A

検査の結果は、表示された銘柄牛肉(例えば松坂牛)について、表示通りの銘柄か判別するものです。 結果は、「松坂牛と判別される」「松阪牛以外の牛肉と判別される」という結果となります。 銘柄牛肉の判別検査は、従来銘柄の真正の確認には、トレーサビリティによる記録確認、個体識別によるDNA検査(個体DNAが保存されている銘柄による)などの方法しかなかったのに対して、安定同位体比分析による科学的な検証を提供する上で、有効なものです。 しかし、国内すべての銘柄を網羅しているものではない為、検査においては、「表示された銘柄を検査により確認する」方法となります。 以下に判別検査についてのいくつかのQ&Aを用意しました。

安定同位体分析で、なぜ銘柄牛肉が区別できるのか。

安定同位体比を指標とした分析では、牛に与えられた飼料(稲わら、麦、コーンなど)により牛の炭素・窒素安定同位体比が異なる事が分かります。 有力銘柄牛ほど、稲わら、麦わらなど粗飼料の配合が主体です。 一方、輸入コーンなどを与えられた牛は、異なる炭素安定同位体比を示します。 次に、牛の成育地域により水の酸素・水素安定同位体比は異なります。 牛は、成長過程で組織内にこの水の酸素・水素を取り込みます。 この為、牛肉を分析すると飼料の特徴や、牛の成育した地域の水の特徴が反映されている事が分かります。 それぞれの銘柄牛肉について、まちがいなくその銘柄であると確認された牛肉を集め、この安定同位体比を分析してデータベース化する事で、銘柄の判定用のデータバースとなります。 このデータベースと検査対象の牛肉の分析値を東経処理にて比較する事で、銘柄が正しいかどうかが判定されます。

判別できる銘柄は?

松坂牛、近江牛、飛騨牛、前沢牛、北上牛、米沢牛、常陸牛、仙台牛、佐賀牛、薩摩黒牛、田村牛など22銘柄についての検査が可能です。 これ以外に神戸牛など15銘柄の追加を進めています。 分析対象銘柄等について、詳しくは検査業務部にお問い合わせください。

銘柄不明の牛肉は判別できないのか? また輸入牛の場合は判別されるのか?

銘柄牛肉について、表示通りかどうかの判別検査は、90%以上の精度を維持しています。 しかし、判別対象にすべての銘柄牛肉を網羅しているものではない為、不明銘柄の牛肉を判別する場合、精度は低下します。 不明銘柄の場合においても、グループ1,2に分類後、さらに個々のサブグループで判別を行う事で、該当銘柄の候補を示す事は可能ですが、表示銘柄と合致しているかという検査と比較して、網羅していない銘柄もあり、「可能性として示す」事となります。 また銘柄牛肉の判別検査においては、分析値について、国産・輸入(米国、豪州、NZ等)の判別検査も組み込まれています。 従って、もし輸入牛肉が含まれる場合、銘柄検査と別に、「輸入牛肉」と判別されます。

判別の精度は?

22銘柄について、松坂、前沢等のグループ1と近江、飛騨牛等のグループ2に判別する精度は、94.6%です。(判別分析的中率) またさらにグループ1、2内で個々の銘柄に判別する場合の判別精度は、92−3%です。 尚、松坂・前沢等のいわゆる代表銘柄の方が判別精度は高く、岩手牛、山形牛というように県内の広い地域で別個に生育されている銘柄については、精度が低下します。 詳しくは、検査業務部にお問い合わせください。

どの程度の検体重量が必要か? また部位により相違はあるのか? 価格は?

検体重量は、数10gです。 しかし、脂肪部分をさけた筋組織が必要です。 部位による相違については、銘柄格付けされ食肉として市販される主要部位においては、判別に影響するような相違はありません。 検査費用は、税別で41,000円(判別検査費用35,000円及び脱脂処理6,000円)です。

国産牛は、判別できるのか?

まず和牛と黒毛和牛は、品種的に遺伝子検査で判別できます。 次に、生育地・環境の観点からは、有名銘柄であるほど、飼料や生育地域に制限があります。 この為、国産牛を銘柄牛として偽装する事は、飼料の違い(国産牛は、濃厚飼料が主体)もあり、主要銘柄では容易に判別されます。(国産・輸入牛肉の開発において、国産牛・交雑牛のデータベースも構築されています)

但馬牛の仔牛を松坂で育てるのだから、誕生地域と生育地域が違う。 地域の安定同位体比を示すというが、生育場所が変わっても大丈夫なのか?

牛の体内の安定同位体比が、新たな環境(飼育地)で、その地域の安定同位体比と入れ替わるには、一定の時間が必要です。 通常6ヶ月程度は要するとされていますが、銘柄牛肉の場合、銘柄地域での飼育が最長・最終という事、さらに肥育期間にも制限があるものが主体であり、仔牛として、他の地域から移転してきた場合においても、生育地の安定同位体比に入り替わると考えられます。 尚、県単位の銘柄など、飼育期間を含め、牛肉内の安定同位体比が誕生地と生育地で置換されている事についての研究を進めています。