測定目的に応じた多種の測定装置
NaI検出器・・ベクレルモニター&γ線スペクトロメーター (迅速・簡易検査に最適)
原子力発電所の事故を受け、最初に必要な対応策は、どの程度範囲まで放射性物質が拡散しているかの状況を把握する事です。NaI(ヨウ化ナトリウム)検出器は高感度であり、価格的に比較的安価な為、測定対象とする食品や水、土壌などが、どの程度の放射能量を持つのか、迅速に測定するのに非常に有効です。1つの検体の測定に要する時間は、10−15分程度です。 同位体研究所が使用しているNaIシンチレーション検出器による測定装置は、2種類あります。ベルトールド・テクノロジー社製 LB200 ベクレルモニター
ベクレルモニター
食品や水の総放射能量をKG当たりのベクレル値で表示します。鉛の測定容器内に、サンプルをセットし、測定開始すれば10分程度で測定が完了します。食品や水を対象とする為、天然に存在する放射性カリウム(K-40)については、検出感度を落としてある為、検体中の放射性カリウムの影響を受けにくい特徴がありますが、カリウムを多く含む検体の場合、やはりカリウムを検出する為、値が高くなります。またNaIシンチレーション検出器は感度が高いですが、ラドンなどの周辺環境放射能についても検出する場合があり、定量性を含め放射能量で20Bq/kg以上の検出が有効です。扱いやすく、また価格的にも安価なので、工場での簡易検査などにも有効です。ただし、放射性ヨウ素、放射性セシウム134と137といった核種別の測定はできません。表示される放射能量は、検体から得られる総γ線量というものです。
ベルトールド・テクノロジー社製 NaIシンチレーションγ線スペクトロメーター LB2045
ベNaIガンマ線スペクトロメータ
γ線のスペクトルを解析する事で、どのような核種が含まれるか定量する簡易測定装置です。 精密測定に使用するゲルマニウム半導体検出器・γ線スペクトロメーターと比較した場合、感度は高いですが、核種を同定する精度は劣ります。
LB2045の場合、放射性セシウムは、Cs-134とCs-137の合算値として表示されます。Cs-134とCs-137の区別は困難です。
しかし、総放射性セシウムの測定値は良好な値を示し、放射性カリウム(K-40)については、測定に影響しない事から、簡易検査としては、精度の高い結果が得られます。
LB2045も扱いは容易な為、放射能測定について、熟練していない人でもすぐに測定を行う事ができます。測定に際しては、鉛製の容器内に検体をセットし、タッチパネルで測定項目を選択する事で測定が開始されます。牛肉や、米などがどの程度の総放射性セシウムを含むのか迅速・簡易に測定する上で、有効な測定装置です。